個別受注型製造業における個別原価計算の考えかたとは?

 原価計算の仕方には皆さんご存知の通り個別原価計算と、総合原価計算の2通りに大きくわかれ、
個別受注型製造業においては当然、個別原価計算となります。
 総合原価計算は、
単純総合計算
組別総合原価計算
等級別原価計算
工程別総合原価計算

など製品の生産形態により選択していく必要があり煩雑ですが、個別受注型製造業の個別原価計算は非常にシンプルで、
単純に工事番号または製造番号毎にかかった原価を振り分けるだけです。

 しかし、予定賃率、配賦方法、原価差額処理の方法は細かい内容では会計士の先生方毎に考えが違うことが多く、自社にあった方法を選択する必要があります。
 また、管理会計と、財務会計との間にこの原価計算が存在することにもいろんな意見が出てくる原因のひとつがあると思います。

実践上の原価計算(予定賃率利用)と経理上の原価とは

実践上の原価計算
 昨年度実績において予定賃率を事前に決めておき、個別の工事番号(製造番号)毎に発生した材料費、外注費と
社内の作業時間×予定賃率(アワーレート)と経費を合計算出して、この工事番号(製造番号)毎にいくら原価発生したのかを
単純積み上げして客先から受注した金額、または実行予算と比較して、いくら儲かるのかを管理する管理会計上の原価計算を言います。

経理上の原価計算
 工事番号(製造番号)ごとの集計以外に集計期間が必要になります。
 材料費と外注費の集計方法については、単純に集計期間の合計(工事番号別)ですが、労務費については、
集計期間の工数に対して予定賃率(アワーレート)で乗算した集計値を、実際に払った給与他の費用にて再算出する必要があります。
 個別受注型製造業の場合、原価算出するのに給与を支払った後に労務費、間接費を確定していると、
早くて工事が終わった1か月後しか算出できない状態となります。
 算出が遅くなると現場がコストダウンの意識なしに工事を進めがちになり、原価意識が徹底できません。
 よって結論としては、両方を加味することが望ましいと思われます。

 工事番号別(製番別)原価管理表のイメージとしては、原価差額、配賦が別項目として後で算出され原価管理表に追加されます。
 現場に対しては、この原価差額については個別原価として意識することなく日常業務を進めさせる指示をします。
 次年度はこの原価差額が少なくなるようにアワーレートを取決めてください。

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