失敗事例 (1)

 半導体製造装置を受注生産にて製造しているA社の社長様との出会いは、ある販売店からのご紹介でした。
工場にお伺いして生産管理システムの説明をし始めました。
生産管理システムと業務形態はほぼ合っているようでしたが、社長様から2か月後に工場が完成するのでそのときに合わせて早く入れたいとのことで、すぐに注文を頂き早速納入となりました。
半導体製造装置のある部分で特許を取得され一社独占状態が続き、非常に日常業務も繁忙な時ではありました。

 さて、サーバー、パソコン、ソフトもインストールして準備が整い教育が始まりました。
しかし導入教育の2日目から、パソコンを使われる予定の資材の女性と、設計担当の方から
「何か違うんだよね」「ここを変更してくれないかな」と要望が少しずつ出てきて、
教育3日目には要望が30箇所ほどになってしまい教育を中断することになりました。
メーカーとしては別要望なので「お見積もりをいたします」と言うことで見積もりを持って社長様に会いに行きました。
社長様は「もう予算がないから範囲内でできることを考えなさい、また業務を合わせなさい」
の一点張りで現場の言うことを聞きません。
そんなことを繰り返しているうちに1年たち未稼働となってしまいました。

Q.さて、何がいけなかったのでしょうか?皆さんどう思われますか?

A.そうですね、上記の内容で気になる点を洗い出して見ましょう。
1. 現場(資材、設計など)のメンバーが、導入予定の生産管理システムを見たのでしょうか?
   また、皆さんの同意は頂けたのでしょうか?
2. メーカー側は現状分析をしたのでしょうか?あと、フィットギャップを行い詰めたのでしょうか?
3. 工場が新しく増設するときに生産管理が必要なのでしょうか?また、繁忙時に導入は?
4. 教育時に出てきた追加要望について本当に必要なのか吟味したのでしょうか?

 以上の4点が疑問に残ります。
原因分析としましては、工場を新しくしたので生産管理システムを入れ見栄えをよくしたいと言う願望が問題なのと、
社長様がいくら業務に詳しいとしても現場の方の同意認証を得ないと神輿が担げないことを予測しておくことが必要であったと思われます。

 また、メーカーも売りたいだけで、あとのことを考えずに注文をもらってしまいました。
大きな追加要望が出た時に再度現場とすり合わせ、ほんとに必要な機能のみを追加し、
ある程度現場の要望を聞いてあげる必要もあります。また、繁忙期のシステム導入は極力避けたい物ですね。

以上の点が原因と思われましたので、ITコンサルに入り早速再生に取り掛かりました。
現在は無事稼動、コストダウンが確実に行われています。

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