設計部門が作成した部品表を、製造や購買が手入力でシステムに登録している企業では、
「転記ミスが多い」「入力工数がかかりすぎる」など悩みが尽きません。
数量の1ケタ違い、品番の入力漏れ…
こうした「たった一つのミス」が、生産計画全体を狂わせてしまいます。
そんな悩みを解決に導くのが、設計部品表のCSV連携です。
このページでは、CSV連携の仕組みとメリット、個別受注生産で効果を発揮する理由など、
実務に直結するポイントを解説します。
従来の部品表管理では、以下の問題が発生しやすい傾向があります。
従来の方法①:組図にCADで部品表を直接記入
(問題点)
OLE(Object Linking and Embedding)対応CADとは、
「Excelなど外部アプリケーションのデータをリンク・埋め込み可能なCAD」です。
OLE対応CADを使うと、Excelで作成した部品表を、そのままCAD図面に埋め込めます。
<OLE対応CADを使う4つのメリット>
OLE対応CADに切り替えれば、CSVを介して部品表データをシステムに取り込む仕組みが整います。
現場や購買に正確な情報を迅速に届けることが可能になります。
部品表のCSV連携には、以下の明確なメリットがあります。
個別受注型製造業においては特に有効です。
1. 転記ミス・入力ミスの撲滅
手入力の排除によって、数字の誤りや項目の抜け落ち、型式間違いの発生がなくなる
2. 入力工数の大幅削減
・設計から製造・購買まで一気通貫で行える
・部品数が100点あっても、一瞬でシステムに反映できる
3. 安定運用の実現
「設計承認後にCSVを共有フォルダへ保存」といったルールを決めれば、特別なシステム改修を行わずに運用可能
設計から製造・購買までデータがスムーズに流れるため、全社的な生産性向上が期待できます。
<理想の運用フロー>
設計部門
① Excelで部品表作成(部品コード・名称・数量・単価など)
② CAD図面にOLEで部品表貼り付け(組図・部品図完成)
③ CSV出力で部品表データを生産管理システム/購買システムへ連携
↓
生産管理システム/購買システムでCSV取込を行い、そのまま利用
量産を前提とする「見込生産」では、標準部品を繰り返し使うため、部品マスタの登録が欠かせません。
しかし個別受注生産では、都度設計・都度部品が発生するため、マスタ登録は非効率になりがちです。
この点でCSV連携は非常に有効です。
製番ごとに部品表を作成し、CSVで直接システムに取り込めば、マスタ登録を省略しながら正確に情報を伝達できます。
| 項目 | 見込生産 | 個別受注生産 |
|---|---|---|
| 部品の再利用性 | 高い(標準品が多い) | 低い(都度設計が多い) |
| 部品マスタ登録 | 必須(繰返し使用 | 非効率・原則不要 |
| 管理単位 | 製品/ロット単位 | 製番単位 |