クラウド vs オンプレミス運用 ― 本当にメリットがあるのはどちらか?

製造業で生産管理システムを導入するにあたって、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶかは悩みどころです。
クラウド型は初期コストが安いというメリットが強調されがちですが、オンプレミス型の長期的コストの明確性を考えると一概にクラウド型が優位とも言えません。

このページでは、製造業におけるクラウド運用とオンプレミス運用を徹底比較します。
・クラウド、オンプレミスとは?
・クラウドとオンプレミスの一般的な比較
・製造業での用途における比較

■ クラウド、オンプレミスとは?

クラウド 自社にサーバーを設置せず、AzureやAWSなどの外部クラウドサービスを利用して、データやソフトウェアを運用する方式。Webブラウザやリモート接続で生産管理・工程管理システムを使用する。
オンプレミス 自社に物理サーバーを設置し、パソコンにソフトウェアをインストールして使用。データも社内サーバーで一括管理する方式。

■ クラウドとオンプレミスの一般的な比較

比較項目 クラウド オンプレミス
初期コスト 安い
サーバー購入不要
定額課金で利用
高め
サーバーの購入・設置が必要
資産として残る(減価償却対象)
維持費用 使えば使うほど増大
トラフィック増加で予算超過の恐れもある
ソフト更新・ハード交換等の維持費が発生するが想定しやすい
導入スピード 即利用可能 サーバー納品、設定に時間が必要
セキュリティ クラウド事業者(Azure/AWSなど)に依存 自社内でセキュリティ対策が必要
カスタマイズ性 制限あり(汎用設計が多い) 自由に設計・変更可能
通信速度 ネットワーク状況により遅延あり LAN環境で高速処理が可能

クラウドは初期コストが安いのが最大の魅力です。
しかし、定額課金でもストレージ使用量超過時の追加課金やデータ転送量による課金などのコストが発生する場合があります。
オンプレミスは初期投資こそ必要ですが、その後のコストは明瞭かつ予測可能です。

■製造業での用途における比較


利用シーン クラウド オンプレミス
営業による外出先での見積作成 どこでも簡単に接続して作成可能 VPN接続が必要で手間がかかるが作成可能
大量データ(仕入履歴・実績)検索 データ量次第で処理速度が低下 高速で抽出可能
図面データの保管・参照 容量が大きいと高コスト、表示遅延もあり 一時費用のみで済み、高速表示が可能
タブレット対応 Webアプリ対応で様々な端末から利用可 Windows端末に限定されることが多い
Excel出力 Virtual Desktopの導入が必要な場合あり 通常のExcel操作で問題なし

クラウドは外部からの接続が簡単なのがメリットです。
データ量によって処理速度が落ちたり別でコストがかかったりするので注意しましょう。
オンプレミスは外部からの接続には手間取りますが、データ量に左右されず高速表示できます。

■まとめ:クラウドとオンプレミスは費用対効果の見極めがカギ
• クラウド型が推奨されるケース
  ◦ 海外展開している
  ◦ 営業担当者が多く、出先からのアクセスが多い
  ◦ 多様な端末(iPad/Android等)で利用したい
• オンプレミス型が推奨されるケース
  ◦ 工場内など現場で大量の図面データを高速に参照したい
  ◦ 仕入や実績の大量データ処理を安定的に行いたい
  ◦ ネット環境に依存しない高レスポンスが必要な業務を行っている
クラウドとオンプレミスそれぞれのメリット・デメリットを理解し、システムに何を求めるか熟慮して選ぶのが良いでしょう。

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