「品番が入らない!?」生産管理システム導入前の桁数チェックリスト
生産管理システムを導入した企業から、こんな声を聞くことがあります。
「品番の途中で文字が切れてしまって、何の製品か分からない」
「型式や材質の情報が入力できない」
「1.55mの材料を小数点を使って入力できず、在庫が狂った」
これらはすべて「入力項目の桁数制限」によるトラブルです。
特に受注生産型の製造業では、品番・型式・数量といったデータが多様で複雑になるため、桁数制限が致命的な問題につながるケースが少なくありません。
このページでは、生産管理システム導入前に必ず確認すべき桁数チェックのポイントを解説します。
- よくある落とし穴:システムの「桁数制限」とは?
- 「品番が入らない!」で起きたトラブルの実例
- 生産管理システム導入前に確認すべき桁数チェックリスト
- 導入前に絶対確認すべき4つのポイント
よくある落とし穴:システムの「桁数制限」とは?
多くの生産管理システムには、入力項目ごとに「桁数制限」が設けられています。
たとえば、品番欄は半角英数字10桁、型式は20桁、数量は整数のみ…といった具合です。
製品ごとに型式や仕様が毎回変わる現場では、入力する文字が長くなりがちです。
ところが、システムに桁数制限があると、情報を正しく登録できない場合があります。
特に受注生産をしている企業様は注意が必要です。
見込産業の企業 |
受注生産の企業 |
品番・品名で十分伝達可能 |
型式・仕様・材質などが必須 |
データ項目が少ない |
毎回仕様が異なるため項目が多い |
情報が共通・固定化されている |
桁数も入力項目もバラつきがある |
ERPや生産管理ソフトの中には見込生産向けに設計された製品を「個別受注生産にも対応可能」と謳う場合もあります。
しかし、実際は受注生産の複雑なデータ構造に対応できないケースが多く存在します。
「品番が入らない!」で起きたトラブルの実例
トラブル内容 |
原因 |
結果 |
品番が入りきらない |
品番欄が10桁しかない |
品番が判別不能になり発注ミスが発生 |
数量に小数点が使えない |
小数点以下1桁のみ入力可能 |
在庫データが実際とずれる |
型式欄が存在しない |
入力項目の不足 |
どの仕様かわからず設計ミスが発生 |
これらの問題はすべて、導入前の確認不足に起因します。
一度システムを導入してしまうと、後からの修正やカスタマイズはコストも時間もかかるため、導入前のチェックが何より重要です。
生産管理システム導入前に確認すべき桁数チェックリスト
導入を検討している生産管理システムが自社のデータに対応しているかを確認するには、以下の項目と推奨桁数を基準にチェックしてください。
項目 |
推奨最大桁数 |
推奨桁数が必要な理由 |
製造番号(工番) |
半角英数12桁 |
製造番号の重複防止 |
品番(品目コード) |
半角英数20桁 |
規格やバリエーション情報を含む場合がある |
品名(名称) |
半角英数40桁(全角20文字) |
製品名に記号・数字を含むケースが多い |
型式1(仕様1) |
半角英数40桁(全角20文字) |
型式・図番など技術仕様を記載 |
型式2(仕様2) |
半角英数40桁(全角20文字) |
追加仕様・参考情報などを記載 |
メーカー |
半角英数20桁(全角10文字) |
指定メーカー・ブランドなどの記録 |
材質 |
半角英数20桁(全角10文字) |
鋼材・樹脂などの素材管理 |
数量 |
小数点以下3桁 |
材料が重量物・長尺物の場合に必要 |
単価 |
小数点以下2桁 |
原価計算の精度確保 |
導入前に絶対確認すべき4つのポイント
1. 各入力項目の桁数
Excelや既存システムにある自社データで、最大桁数・文字数を洗い出す
2. 小数点対応
数量・単価・などに小数点が使えるか確認する
3. 入力項目の有無
型式・材質・メーカーなど、自社に必要な項目の入力欄があるか確認する
4. 実際の文字数制限
ベンダーに問い合わせて、各項目の文字数制限を確認する
(実機やテスト環境で確認すると確実性が高まるのでおすすめ)
これらの確認を怠ると、「入力できない=使えないシステム」という結果に直結します。
まとめ:「桁数チェック」は仕様より先に確認しよう
生産管理システム導入において、「使える機能が多いか」よりも「自社のデータが正しく入るか」の方が、はるかに重要です。
どれだけ高機能なシステムでも、自社にとって「使えないシステム」では役に立ちません。
失敗しないために最初に確認すべきは、以下のような基本項目です。
- 各項目の最大桁数にシステムが対応しているか?
- 必要な入力欄(品番・型式・材質など)が用意されているか?
- 数量・単価に小数点が使えるか?
システム導入の成功を左右するのは、見落とされがちな「桁数制限」の事前確認です。
「品番が入らない」という初歩的なトラブルを防ぐために、自社のデータと検討中のシステムを照らし合わせて確認しましょう。
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