操作性で選ぶ生産管理システム:ブラウザ型 vs インストール型
生産管理システムを導入するにあたって 「機能の多さ」や 「コスト」を気にする企業は多いですが、実際に現場で使い続けられるかどうかを左右するのは操作性です。
実は、システムが 「ブラウザ型」であるか「インストール型」であるかは、操作性に大きく関係します。
このページでは両者の違いを操作性の観点で比較し、自社に合ったシステム選びの判断ポイントを解説します。
・ブラウザ型・インストール型の操作性比較
1. 導入と利用環境
2. 操作の速さと入力のしやすさ
3. 印刷機能
4. 周辺機器との連携
5. オフライン利用
6. ファイル・フォルダ管理
■ブラウザ型・インストール型の操作性比較早見表
・中小製造業が選ぶ際の判断ポイント
ブラウザ型・インストール型の操作性比較
ブラウザ型のシステムとは、Google Chrome や Microsoft Edge などのインターネットブラウザを介して利用するタイプです。
近年はクラウドサービスの普及に伴い、こちらを採用するシステムも増えています。
対して、インストール型とは、各PCに専用アプリケーションをインストールして利用するタイプです。
どちらも一長一短なので、具体的に6つの項目について比較します。
1. 導入と利用環境
<ブラウザ型>
PCに特別なソフトをインストールする必要がなく、インターネットのURLを開けばすぐに使える
PC・タブレット・スマホなどインターネットに接続された機器で使用可能
アップデートが自動で反映され、常に最新の状態で利用できる
<インストール型>
PCごとにアプリのインストール作業が必要
アプリをインストールしたPCのみで使用可能
アップデートするのに手間がかかる
→導入スピードを重視するならブラウザ型が向いています。
2. 操作の速さと入力のしやすさ
<ブラウザ型>
最近登場した技術によって従来よりは速くなっているが、大量データを扱うと処理が遅れる
ショートカット操作や複雑なドラッグ操作は制限されることが多い
<インストール型>
1万件以上のデータでも軽快に処理できる
Excelなどのソフトに近い操作も可能
→現場での入力スピードを重視するならインストール型を検討しましょう。
3. 印刷機能
<ブラウザ型>
印刷のレイアウトがブラウザの仕様に左右され、帳票やラベルの位置ズレが発生しやすい
専用ラベルプリンタやバーコード印刷との連携が弱く、追加の設定やツールが必要な場合がある
<インストール型>
プリンターと直接やりとりできるので、帳票やバーコード・ラベルの印刷まで安定して行える
→帳票出力やラベル印刷が必要な工場には、インストール型がおすすめです。
4. 周辺機器との連携
<ブラウザ型>
計量器などの機械と直接つなぐのが難しく、別の仕組みを介して連携する必要がある
<インストール型>
USBケーブルでつないだ機器とそのままやり取りできる
→システムと他の機械をつないで現場効率化を行いたい場合は、インストール型が便利です。
5. オフライン利用
<ブラウザ型>
基本的にインターネットが必須
Wi-Fiが不安定だと入力中にエラーが出て、再ログインが必要になることもある
<インストール型>
オフラインでも入力でき、後からまとめて反映させることが可能
→ネット環境が不安定な工場ではインストール型が安心です。
6. ファイル・フォルダ管理
<ブラウザ型>
ダウンロード先が決まっていることが多く、保存場所を自由に選んだり、社内の共有フォルダと直接つないだりするのは難しい
ファイル名を一括で変える、というような操作に弱い
<インストール型>
Windowsのフォルダ操作と同じように扱え、共有フォルダともスムーズに連携できる
→図面や工程表のファイル管理は、インストール型のほうが簡単にできます。
■ブラウザ型・インストール型の操作性比較早見表
項目 |
ブラウザ型 |
インストール型 |
導入 |
インストール不要、URLですぐ利用 |
PCごとにインストール必要 |
利用環境 |
PC・タブレット・スマホ対応 |
インストールPCのみで利用可能 |
アップデート |
自動反映 |
PCごとに対応が必要 |
操作の速さ |
大量データでは遅くなることもある |
大量データでもサクサク動作 |
入力のしやすさ |
ショートカット操作やドラッグ操作は制限あり |
Excelなどのソフトに近く入力がしやすい |
印刷機能 |
制約があり不得意 |
帳票印刷に強く使いやすい |
周辺機器連携 |
直接接続は苦手 |
USBで接続可能 |
オフライン利用 |
不可 |
可 |
ファイル管理 |
保存先が限られ共有に弱い |
フォルダー連携がしやすい |
中小製造業が選ぶ際の判断ポイント
ブラウザ型とインストール型のどちらが優れているかという単純な二者択一ではなく、自社の業務環境に合わせて選ぶことが大切です。
<判断のヒント>
ブラウザ型が向いている企業
- 導入スピードを重視したい
- 更新作業を自分たちでしたくない
- 外出先や現場でスマホ入力したい
インストール型が向いている企業
- 入力スピードを重視したい
- 帳票印刷が多い
- 図面などをファイル管理したい
現在の業務環境に加えて、将来的にどのような使い方を想定しているかも考慮に入れることをおすすめします。
たとえば、現在は印刷中心でも、将来はタブレット入力が必要になるかもしれません。
システムは長く使用するものなので、導入前に「現在」と「将来」の両方の業務フローを描いて検討すると失敗を防げます。
まとめ:操作性で選ぶ生産管理システムの最適解
生産管理システムの選定において、機能や価格だけでなく操作性を比較することは欠かせません。
- ブラウザ型の強み→導入の容易さとモバイル利用の柔軟性
- インストール型の強み→安定性と印刷・ファイル操作の利便性
自社の業務環境や利用シーンに合ったタイプを選ぶことで、システムは現場に定着し、生産性向上につながります。
システム選定で迷う際は、実際に試用してみて「現場の社員がどちらの方が操作しやすいと感じるか」を確認するのが最も確実です。
操作性の比較を軸に、自社に最適な生産管理システムを見極めましょう。
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