内示製番(仕込み製番)のメリット、デメリットとは?― 断続的繰り返し生産を効率化する内示製番運用と、注意すべき仕分け・按分の手間
ただし、断続的な繰り返しであり見込み生産ではないので、MRP(資材所要計画)機能を利用して在庫前提で生産することは困難になります。このような場合に有効なのが、内示製番(仕込み製番)の運用です。
このページでは、内示製番の運用方法、具体例、メリット・デメリットの両面、システム化による対策まで詳しく解説します。
なぜ内示製番が必要なのか
個別受注生産では、原則として受注ごとに製番を発番し、1台ずつ生産します。しかし、特定機種が断続的に繰り返し受注される場合、毎回1台ずつ生産していると非効率です。
断続的繰り返し生産の典型例
- 同じ機種を2〜3か月に1回のペースで受注
- 得意先が複数あり、それぞれが異なる時期に同じ機種を発注
- 標準仕様の機種で毎回少量の受注が続く
- 同じ部品・ユニットを共通使用する機種
なぜMRPが使えないのか
繰り返し生産といえばMRP(資材所要計画)が思い浮かびますが、断続的繰り返しでは機能しません。
MRPは「需要予測に基づく見込み生産」を前提とした仕組みです。
断続的な繰り返しでは需要予測ができず、在庫前提の生産も困難なため、MRPでは適切に運用できません。
そこで「個別受注の枠組み」を維持しながら、まとめ生産の効率を取り入れる内示製番運用が登場します。
内示製番(仕込み製番)の運用方法
内示製番の運用方法は次の通りです。
- 受注した複数の物件(製番)を取りまとめる
- 工場側で内示製番(仕込み製番)を発番する
- 内示製番に対してまとめて部品発注・生産を実施
- 完成後、内示製番から個別製番に振替・引当てる
- 個別製番として出荷・売上計上する
具体例で見る内示製番の効果
たとえば、同じ機種が次のスケジュールで受注されたとします。
| 受注時期 | 納期 | 数量 | 製番 |
|---|---|---|---|
| 4月初旬 | 4月末 | 1台 | 202604001 |
| 5月初旬 | 5月末 | 2台 | 202605001 |
| 7月初旬 | 7月末 | 2台 | 202607001 |
| 8月初旬 | 8月末 | 1台 | 202608001 |
通常の個別受注生産の場合
通常運用では、4つの製番をそれぞれ独立して生産します。
| 製番 | 納期 | 数量 | 運用 |
|---|---|---|---|
| 202604001 | 4月末 | 1台 | 個別生産 |
| 202605001 | 5月末 | 2台 | 個別生産 |
| 202607001 | 7月末 | 2台 | 個別生産 |
| 202608001 | 8月末 | 1台 | 個別生産 |
毎回1〜2台ずつ別々に発注・生産するため、部品の仕入単価が高くなり、段取り工数も増加します。
内示製番(仕込み製番)でまとめ生産する場合
内示製番運用では、納期が近い製番をまとめて1つの内示製番にします。
| 内示製番 | 納期 | 数量 | 含まれる個別製番 |
|---|---|---|---|
| X001 | 4月末 | 3台 | 202604001(1台)+ 202605001(2台) |
| Y001 | 7月末 | 3台 | 202607001(2台)+ 202608001(1台) |
4つに分散していた製番を2つの内示製番にまとめることで、部品のまとめ発注・段取り効率化が実現します。
内示製番のメリット
- 部品のまとめ発注で仕入単価を引き下げ
- 段取り工数の削減(同じ製品の連続生産)
- 機械の稼働率向上(段取り替えの頻度減)
- 作業者の習熟効果(同じ作業の繰り返し)
- 不良率の低下(連続生産による品質安定)
- 個別受注の原価追跡も維持できる
特に部品仕入のスケールメリットは大きく、案件によっては10〜20%のコストダウンが実現することもあります。
内示製番のデメリット ― 注意すべき2つの手間
一方、内示製番運用にはメリットだけでなく、注意すべきデメリットもあります。導入を検討する際は、これらの手間に対応できる仕組みがあるかが鍵になります。
デメリット[1]:納入物の仕分けが煩雑になる
内示製番X001、Y001でまとめて発注した部品を、受入時に個別製番202604001、202605001、202607001、202608001に仕分ける必要があります。
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| 仕入先からの納入 | 内示製番X001の部品を一括納入 |
| 仕分け作業 | 内示製番X001 → 個別製番202604001・202605001に分配 |
| 在庫計上 | 各個別製番の仕掛在庫として計上 |
1点ずつの部品ならまだ良いですが、部品点数が多いほど仕分け作業が膨大になります。受入から仕分けまでの工数を見積もって、内示製番運用のメリットを上回らないか確認が必要です。
デメリット[2]:原価按分が手間
もう1つのデメリットが、原価の按分処理です。内示製番で発生した材料費・労務費・経費を、最終的には個別製番に按分する必要があります。
内示製番が製作途中で個別製番に引当てされていくと、按分処理に非常に手間がかかります。
「内示製番X001の途中で2台分を個別製番202604001に振替」「残り1台を202605001に振替」というように、進捗に応じて按分が発生するためです。
原価按分の具体例
たとえば、内示製番X001(3台)の現時点での原価が次の通りだったとします。
| 項目 | 金額(3台分) | 1台あたり按分額 |
|---|---|---|
| 材料費 | 300万円 | 100万円 |
| 労務費 | 150万円 | 50万円 |
| 経費 | 60万円 | 20万円 |
| 合計 | 510万円 | 170万円 |
これを個別製番202604001(1台)・202605001(2台)に按分する処理を、手作業で行うと膨大な工数になります。さらに、製作途中で部品単価が変動したり、追加部品が発生したりすると、按分計算がより複雑になります。
内示製番のメリット・デメリットまとめ
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 部品仕入の単価引下げ/段取り工数削減/機械稼働率向上/作業者習熟/不良率低下 |
| デメリット | 納入物の仕分けが煩雑/製作途中での原価按分処理が手間 |
内示製番運用を成功させるためのチェックリスト
- 同じ機種の受注が定期的に発生しているか?
- 受注時期は2〜3か月に1回程度の頻度か?
- まとめ発注による仕入単価メリットはあるか?
- 受入時の仕分け作業を効率化できる仕組みはあるか?
- 製番振替・原価按分を自動化できるシステムはあるか?
- 得意先からの納期変更・キャンセルへの対応方針はあるか?
システム化で内示製番のデメリットを最小化
内示製番運用のデメリット(仕分けの煩雑さ・原価按分の手間)は、生産管理システムによって大幅に軽減できます。
システム化のメリット
- 内示製番と個別製番の関連付けを自動管理
- 受入時に個別製番への按分仕訳を自動生成
- 製作途中でも原価按分が常に最新に保たれる
- 個別製番の引当て状況がリアルタイム可視化
- 納期変更・キャンセル時の振替再計算も自動
インプローブの内示製番対応ソリューション
インプローブの生産管理システム「Prevision」は、個別受注生産の枠組みを保ちつつ、内示製番運用にも対応した機能を備えています。
Previsionの内示製番対応機能
- 内示製番(仕込み製番)の発番・管理に対応
- 内示製番と個別製番の関連付けを一元管理
- 受入時の個別製番への按分を仕組み化
- 製作途中の原価按分もリアルタイム自動計算
- 有効在庫管理で内示製番分の引当ても可視化
スマホ連携でさらに効率化
仕分け・受入処理は、スマホ連携で大幅に効率化できます。
- サクっと受入(スマホ対応):受入処理をスマホでバーコード読取して即時反映
- サクっと棚卸(スマホ対応):棚卸作業をスマホで効率化
- サクスマ(スマホ・タブレット・PC対応):工程管理全般、Prevision連携可
まとめ|「メリット」と「デメリット」を理解して運用を選ぶ
内示製番(仕込み製番)は、断続的繰り返し生産における個別受注生産とまとめ生産の両立を可能にする有効な運用方法です。部品仕入のスケールメリット・段取り工数削減・機械稼働率向上など、多くの効果が期待できます。
一方で、納入物の仕分けが煩雑になること、原価按分の手間がかかることといったデメリットもあるため、両面を理解したうえで導入を検討する必要があります。生産管理システムによる自動化を組み合わせれば、デメリットを最小化しつつメリットを最大化できます。
「断続的繰り返し受注の生産効率を上げたい」「内示製番運用の仕組みを整えたい」「製番振替・原価按分を自動化したい」というご相談、お気軽にお寄せください。インプローブでは、貴社の業務規模・受注パターンに合わせた最適な内示製番ソリューションをご提案します。
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