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生産管理システムのカスタマイズはなぜ少ない方がいいのか ― バージョンアップが受けられなくなるリスクとその回避策

カスタマイズとは、お客様に合わせてソフトパッケージを修正することを指します。自社業務にぴったり合うシステムが手に入る一方、カスタマイズをなくすことができれば貴社にとって非常にメリットが多いのも事実です。
カスタマイズした部分はバージョンアップが受けられなくなることが多く、長期運用で大きな問題に発展するからです。
このページでは、カスタマイズが招くリスクと、それを最小限に抑えながら自社業務にフィットさせる現実的な回避策をご紹介します。

カスタマイズが招く最大のリスク:バージョンアップ不可

カスタマイズを行うと、その規模や部位にもよりますが、カスタマイズした部分はバージョンアップが受けられなくなります。これは技術的な制約で、ソフトメーカーがどう頑張っても完全には解消できない問題です。

バージョンアップができないとどうなるかというと、マイクロソフトなどのOSが新しいバージョンになっても、古いままのハード・古いままのOSを我慢して使い続ける必要があります。

具体的な問題:OS更新の壁

たとえばWindows 10環境で動いているシステムが「Windows 11には対応できない」と言われた場合、操作するメンバーが増えてもWindows 10はすでに販売終了しているため端末増設できず、古い端末が故障しても同等品の調達ができず仕事が止まります。セキュリティパッチも提供されず、サイバー攻撃のリスクも増大します。

このような状況は、しばらくは我慢できてもいずれ限界がきます。最終的にはシステム全体を再構築するハメになり、結果的に大きなコストが発生します。

「カスタマイズ」は将来のコストを先送りする行為

導入時にカスタマイズで自社業務に合わせると、当面は快適に運用できます。
しかし、5〜10年後にOS・ハードの更新時期が来ると、その負担が一気に表面化します。
導入時の利便性と引き換えに、将来のコストを先送りしている形になります。

カスタマイズの種類と影響度の違い

ひとくちにカスタマイズと言っても、修正する部位によってバージョンアップへの影響度は大きく異なります。

カスタマイズの種類 バージョンアップへの影響
追加帳票の作成 得意先指定の請求書、独自レイアウトの納品書 影響なし/影響小
外部システム連携 会計ソフト・EDIへのデータ連携 影響小/中
項目桁数の拡張 品番20桁→30桁、品名40文字→60文字 影響中(メーカーにより異なる)
入力項目の追加 自社独自のフリー項目を追加 影響中/大
計算ロジックの変更 原価計算の独自方式、特殊な集計 影響大(多くの場合バージョンアップ不可)
画面の大幅変更 業務フローを変える画面構成の修正 影響大(バージョンアップ不可)

追加帳票や外部連携はバージョンアップへの影響が小さく、画面・計算ロジックの大幅変更は影響が大きくなります。同じ「カスタマイズ」でも、選び方で将来の運用負担が大きく変わります。

検討時に必ずメーカーに確認すべきこと

カスタマイズが必要になりそうな場合、検討対象のパッケージメーカーに次の点を確認してください。

[1] カスタマイズの方式は何か

標準機能の設定変更で済むのか、ソースコード自体を修正するのかで影響度は全く異なります。「設定」で済む範囲ならバージョンアップ可能なケースが多く、「ソース修正」になるとバージョンアップが難しくなります。

[2] 入力部分の項目桁数変更・項目追加が可能か

入力部分の項目桁数変更や項目追加は、できれば標準機能の範囲内で対応してもらうのが理想です。もし変更が必要な場合、変更後もバージョンアップが可能かを必ず確認してください。

[3] バージョンアップポリシーを確認する

メーカーごとにポリシーは異なります。カスタマイズ部分がバージョンアップ後も維持されるか、維持される場合の追加費用、バージョンアップの提供頻度、サポート対象外になる期限などを必ず確認してください。

カスタマイズを最小限に抑える3つの方針

では、自社業務にフィットさせつつ、カスタマイズを最小限に抑えるにはどうすればよいでしょうか。3つの実用的な方針があります。

方針[1]:入力系は一切変更しない

できれば入力部分は一切変更しないのが理想です。入力系(画面項目、計算ロジック、登録処理など)はシステムの中核機能であり、ここを変更するとバージョンアップ時の修正コストが膨大になります。

自社の入力項目がパッケージの標準項目に収まらないなら、そもそもそのパッケージは自社に合っていない可能性があります。別のパッケージを検討した方が、結果的に低コストです。

方針[2]:追加の帳票作成のみで吸収する

自社固有のニーズは、追加帳票・追加レポートの作成で吸収するのが現実的です。帳票は出力側の機能なので、標準機能のデータベースを参照するだけで済み、バージョンアップへの影響が小さいのが特徴です。

得意先指定の請求書フォーマット、独自レイアウトの納品書、社内専用の分析レポートなどは、追加帳票で対応するのがベストです。

方針[3]:標準項目の活用でカスタマイズを回避する

パッケージには通常、「フリー項目」「予備項目」として柔軟に使える項目が用意されています。新規項目を追加する前に、これらの標準項目を活用できないか検討してください。

カスタマイズ最小化の優先順位
  1. 標準機能で対応できないかをまず検討
  2. 標準のフリー項目・予備項目を活用できないか確認
  3. 必要なら追加帳票・追加レポートでニーズを吸収
  4. 外部連携(CSV、Excel取込)で対応する方法を検討
  5. どうしても必要な場合のみ最小限の入力部分変更

特に注意すべきカスタマイズ:数量や金額の変更

本来の入力項目を変更しないと使えないパッケージ、特に数量や金額の入力項目を変更しないと自社業務に合わないパッケージは、慎重に判断してください。

数量や金額はすべての処理の根幹に関わるため、これらを変更すると影響範囲が広く、バージョンアップ時の検証作業も膨大になります。「数量に小数点が使えない」「金額の桁数が足りない」というような根本的なズレは、カスタマイズで解決するのではなく、別のパッケージを選び直すのが賢明です。

「カスタマイズで何とかなる」は危険信号

選定段階で「ここはカスタマイズで対応します」という説明が頻繁に出るパッケージは、そもそも自社業務に合っていない可能性が高いです。
カスタマイズで埋める前提のソフトは、初期費用も長期コストも膨らみます。標準でフィットするソフトを選び直すことを検討してください。

標準でフィットするソフトを選ぶことが最良

結論として、標準機能で自社業務にフィットするソフトを選ぶのが最良の選択です。標準機能で使えれば、カスタマイズ費用は不要で、バージョンアップも問題なく受けられます。

そのためには、選定段階で自社の業務範囲・データ規模を明確にし、それに特化したパッケージを探すことが大切です。「あらゆる業種に対応」と謳う汎用パッケージよりも、自社業態に特化した専門パッケージの方が、標準機能でフィットする可能性が高くなります。

まとめ|カスタマイズは「最小限」が原則

生産管理システムのカスタマイズは、「できるだけ少なく、必要な部分だけ」が原則です。特に入力部分の変更は将来のバージョンアップに大きく影響するため、可能な限り標準機能で対応してください。

どうしても必要な場合は、追加帳票・追加レポート・外部連携で吸収するのが現実的です。これらはバージョンアップへの影響が小さく、長期運用の柔軟性も保てます。選定段階では、メーカーにカスタマイズ方式とバージョンアップポリシーを必ず確認してください。

インプローブの生産管理システム「Prevision」は、受注生産の工場に特化した標準機能を備え、多くのお客様にカスタマイズを最小限に抑えた形で導入いただいています。「自社業務に合うか確認したい」「現在のシステムがカスタマイズ過多で困っている」というご相談、お気軽にお寄せください。

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