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コラム / システム比較

ERP・MRP・MES・生産管理システムの違い完全マップ|製造業向け業務システム選定ガイド

製造業のシステム化を検討すると、必ず登場するのが「ERP」「MRP」「MES」「生産管理システム」という4つの言葉です。営業や経営層からは「ERPを入れよう」、現場からは「MESが必要」、ベンダーは「生産管理パッケージを推奨」と、立場によって違う用語が飛び交って混乱しがちです。本コラムでは、それぞれが担う業務範囲・対象業種・中小製造業での選び方を、完全マップとして整理します。

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ERPとは|全社業務を統合する基幹システム

ERP(Enterprise Resource Planning=企業資源計画)は、会計・人事・販売・購買・在庫・生産といった全社の業務情報を1つのシステムに統合して管理する基幹システムです。SAP・Oracle・Microsoft Dynamics などが代表的な海外製品、国内では奉行クラウドやOBIC7などがあります。

ERPの本来の意味は「経営資源を全体最適で計画する」ことであり、財務・会計が中核に据えられています。製造業に特化したシステムではない点が、中小製造業がERPを検討する際の最大の落とし穴になります。

ERPの守備範囲

会計・財務・人事・販売・購買・在庫管理など全社横断業務をカバー。生産管理機能も含まれるが、「製造業特化型」と「汎用型」の差が大きく、自社業態に本当に合うかは慎重な見極めが必要です。


MRPとは|資材所要量計算を担う生産計画機能

MRP(Material Requirements Planning=資材所要量計算)は、生産計画と部品表(BOM)・在庫情報をもとに「いつ・何を・いくつ手配すべきか」を自動計算する仕組みです。1970年代に米国で生まれた製造業の計画手法で、ERPの中核機能として組み込まれることが多いものです。

MRPは需要予測が立てやすい見込み生産・繰り返し生産の量産工場で力を発揮します。一方、受注ごとに仕様が変わる受注生産では、その都度部品の扱いやマスタ精度維持の問題で運用が困難になることが少なくありません。

中小製造業がERP=MRPに振り回されない

「ERPを入れる」が「MRPを入れる」にすり替わるパターンが、中小製造業のシステム導入失敗の典型です。自社の生産形態が受注生産であれば、MRP方式ではなく製番管理方式のシステムを選ぶ必要があります。


MESとは|製造現場の実行管理システム

MES(Manufacturing Execution System=製造実行システム)は、製造現場での作業指示・作業実績収集・品質管理・設備管理など、「現場の今」を管理するためのシステムです。生産管理システムが計画レイヤーを担うのに対し、MESは実行レイヤーを担います。

MESは大手メーカーの量産工場で発達した概念で、設備からの自動データ収集(IoT連携)、トレーサビリティ確保、品質データの収集・分析などが中心機能です。中小製造業では「MESまでは不要、生産管理システムの実績収集機能で十分」というケースが多くあります。

MESが必要な工場・不要な工場

大量生産・自動化が進んだ工場ではMESの価値が大きく、医薬品・食品など厳密なトレーサビリティが必要な業種では必須です。一方、多品種少量の受注生産工場では、生産管理システムに統合された実績収集機能で十分な場合が大半です。


生産管理システムとは|製造業の中核業務システム

生産管理システムは、製造業の業務を一気通貫で支えるシステムの総称です。受注・設計・生産計画・調達・製造・出荷・売上・原価管理までを統合的に管理します。日本の中小製造業では、ERPよりも「生産管理パッケージ」という名前で導入されることが圧倒的に多いカテゴリーです。

生産管理システムは、対象とする生産形態によって設計思想が大きく異なります。見込み生産向け(MRP方式)と受注生産向け(製番管理方式)は、同じ「生産管理システム」と呼ばれていても中身は別物と考えるべきです。

生産形態適する方式代表機能
見込み生産(量産品)MRP方式需要予測連動、所要量計算、在庫補充
繰り返し生産(同一品)MRP方式 + 在庫管理標準BOM、ロット管理、JIT
受注生産(一品物)製番管理方式製番引当、個別原価、その都度部品
混在生産製番管理 + 発注点管理製番手配と在庫補充のハイブリッド

4つのカバー範囲マップ|どこをどう担うか

ERP・MRP・MES・生産管理システムを、業務カバー範囲とレイヤーで整理すると次のようになります。同じシステム名でもベンダー実装で範囲は変動しますが、概念的な位置関係を把握しておくと選定が楽になります。

業務領域ERPMRPMES生産管理
会計・財務◎中核××△連携
販売・購買×
生産計画◎中核
所要量計算○(MRP内蔵)◎中核×
工程進捗管理
作業実績収集××◎中核
品質・トレース××
原価管理
設備IoT連携××

※ ◎=中核機能 / ○=対応 / △=部分対応 / ×=対象外(一般的な傾向)

中小製造業に最も実用的なのは「製番管理型の生産管理システム」

業務横断性ではERPに劣り、現場制御の深さではMESに劣るものの、製造業の業務の8〜9割をカバーするのが生産管理システムです。特に受注生産の中小製造業では、製番管理方式の生産管理システムが最もコストパフォーマンスが高い選択肢になります。


中小製造業はどう選ぶか

4種類のシステムの違いを踏まえて、中小製造業がどう選ぶべきか、判断の道筋を整理します。

判断ステップ①:自社の生産形態を確認する

まず自社が見込み生産か受注生産か、混在か、を明確にします。受注生産であればMRP方式は避け、製番管理方式を選びます。

判断ステップ②:会計を含めて統合したいか分けたいか

会計まで含めて1つのシステムで統合したいならERP、生産管理に集中したいなら生産管理システムを軸にして既存会計と連携する構成を選びます。中小製造業では後者が圧倒的に多く、実用的です。

判断ステップ③:現場の制御レベル

多品種少量の手作業中心ならMESは不要、生産管理システムの実績収集機能で十分です。設備の自動制御・IoTデータ収集が必要な工場のみMESを検討します。


まとめ|自社の課題から逆引きで選ぶ

ERP・MRP・MES・生産管理システムは、それぞれが担う業務範囲と設計思想が異なります。製造業のシステム化を検討する際は、「どのカテゴリのシステムを入れるか」ではなく「自社のどの課題を解決したいか」から逆引きで選ぶことが、失敗を避ける最大のコツです。

中小製造業、特に受注生産の組立業・部品加工業であれば、製番管理方式の生産管理システムが業務の8〜9割をカバーします。ERPの財務統合、MESの設備制御は、必要性が明確になってから後付けで検討する方が、投資効率が高くなります。

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