
製造業において「生産管理」という言葉はよく使われますが、その中身は会社ごとに大きく異なります。
工程管理のことを指す場合もあれば、在庫管理や原価管理を含めた広い意味で使われることもあります
本記事では、受注生産・個別生産の現場を前提に、生産管理とは何を対象とし、どのような考え方で整理すべきかを「全体像」として解説します。
具体的な手法や運用ルールは個別の記事でくわしく解説し、ここでは生産管理全体を理解するための考え方を整理しています。
生産管理とは、受注から出荷までの流れを管理し、納期・品質・コストをバランスよく実現するための考え方です。
単なる計画作成や進捗確認ではなく、「ものづくり全体を安定して回す仕組み」を指します。
現場では、工程の遅れや在庫不足、原価のズレなど、さまざまな問題が同時多発的に起こります。
生産管理は、これらに個別対応するのではなく、全体として整理し、再発しない形に整える役割を担います。
生産管理の定義や役割については、以下の記事でくわしく解説しています。
工程管理は、生産管理を構成する重要な要素の一つです。
ただし、工程管理だけを行っても、生産管理ができているとは言えません。
工程の情報を在庫や原価、受注情報と結び付けて初めて、問題の根本原因が見えるようになります。
生産管理では、工程を「点」ではなく「流れ」として捉え、他の管理領域と結び付けて考えます。
工程管理と生産管理の違いや役割分担については、以下の記事で整理しています。
在庫管理は、生産管理の中でも特に難易度が高い領域です。
受注生産・個別生産では、製品ごとの在庫は持たなくても、部品や共通ユニットは在庫として管理する必要があります。
重要なのは、「帳簿上の在庫」ではなく「実際に使える在庫」を把握することです。
この考え方が曖昧なままでは、欠品や過剰在庫が繰り返し発生します。
在庫管理の具体的な考え方や手法については、以下の記事で解説しています。
原価管理は、結果として数字に表れるため、問題が表面化しやすい領域です。
多くの場合、原価のズレは見積精度や工程・在庫・作業実績の管理不備から生じています。
生産管理では、原価を「計算するもの」ではなく、事前の見積や実行予算を策定した上で、その「結果として見える指標」として捉えます。
日々の運用が整っていなければ、正しい原価は算出できません。
原価管理を生産管理の中でどう位置付けるかは、以下の記事で説明しています。
生産管理は、製造現場だけで完結するものではありません。
受注内容や売上情報と結び付くことで、全体としての意味を持つようになります。
製番と売上が紐づいていない場合、売上原価を案件単位で把握できないため、利益や採算の判断が曖昧になります。
生産管理では、製造と販売の情報を切り離さず、一連の流れとして捉えることが重要です。
生産管理と売上管理の関係について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
生産管理のIT化は、手段であって目的ではありません。
紙やExcelで管理できなくなった結果として、IT化が必要になるケースが多く見られます。
生産管理において「IT化すれば何とかなる」という考え方は危険です。
重要なのは「何を管理したいのか」を整理したうえでITを使うことです。
考え方が整理されないままシステムを導入すると、かえって現場の負担が増えることがあります。
IT化や生産管理システムの考え方については、以下の記事でくわしく解説しています。
受注生産・個別生産では、量産向けの管理手法をそのまま当てはめると、現場で無理が生じることがあります。
案件ごとに仕様が異なり、工程や部品構成も変わるためです。
受注生産・個別生産における生産管理では、すべてを細かくマスタ化するのではなく、「必要な情報を確実に押さえる」視点が重要になります。
現品票や作業実績、部品の引当など、最低限外せない管理ポイントを明確にしましょう。
受注生産・個別生産における生産管理については、以下の記事でポイントを整理しています。
中小製造業では、理想論どおりの生産管理を一度に導入することは現実的ではありません。
人員や時間に制約がある中で、段階的に整えていく必要があります。
まず全体像を理解し、自社の課題が大きい領域から順に手を入れていくことが重要です。
たとえば、生産管理は次のような入り口から始めることが考えられます。
このような考え方が、無理のない生産管理につながります。
中小製造業における生産管理については、以下の記事で考え方を解説しています。
本記事で触れた各テーマについては、以下の個別記事で詳しく解説しています。
生産管理の全体像を理解したうえで、関心のあるテーマから読み進めてください。
生産管理は、特定のツールや手法を指すものではありません。
製造業の現場を安定して回すための「考え方の集合体」です。
生産管理はツールではなく、考え方の集合体です。
全体像を理解し、自社に必要なところから整えることが第一歩となります。